北海道におけるアオサギの生息状況に関する報告

Status Report of Grey Herons in Hokkaido

宝池コロニー

コロニーの一部

岩見沢市宝水町、宝池(農業用貯水池)最奥部付近のヤナギ林にあったが既に消滅している。ヤナギ林は水際の平坦地にあるが、春から夏にかけては数mの深さに水没する。池の周辺は針広混交林の斜面で囲まれている。コロニーは約300mの範囲に3ヶ所に分かれてあり、このうち最も規模が大きいのは池の最奥部の野々沢川(川巾約3m)の両端に位置する場所であった。

2002年11月24日に行った調査では、タチヤナギ47本に56巣を確認した。営巣木は7m前後の高さのものが多かった。調査は渇水時に行ったが、約2.5mの高さまで水没した形跡のある木も見られた。営巣面積は約2,900m2であった。なお、同年5月10日にダムから確認したところ、低い木にかけられた巣はほとんど水面に浮いているような状態であった。

以前、ダムの管理人をしていた岩見沢市の水島氏によると、1998年に初めてコロニーを確認したという。それ以前にも付近でアオサギを見かけることはあったが、急激に個体数が増えたのは1998年だという。この年は20巣ほどを確認し、翌1999年にはさらに増加したが、それ以降はほとんど変わっていないという。

2003年5月16日に当コロニーを観察したところ営巣は確認できず、2002年を最後に放棄されたようである。放棄に至った理由や放棄時の状況については不明である。ただし、水没したヤナギ林での営巣は地上性捕食者からの防御であると考えられることから、ヒグマや1999年頃から付近で見かけるようになったというアライグマがコロニー放棄の原因となった可能性はある。

このコロニーの周辺では水田で苗を踏みつけられる被害が出ていた。また水島氏によると、ここのアオサギは例年3月末から4月上旬の池の氷が解けはじめる頃に飛来していたという。

コロニーの位置(大きな地図で見る
コロニーの周辺環境
営巣木