北海道アオサギ研究会

江部乙コロニー周辺整備計画説明会

2011年1月19日、タイトルの件ので江部乙公民館で行われた説明会に行ってきました。この整備計画は江部乙にある道有林の一部にグイマツの幼木を植樹するというものです。この林はカラマツの種母林として道が管理しているものですが、15、6年前からアオサギの営巣が確認されており、今回作業する箇所がコロニーに隣接することから、アオサギに配慮した方法で作業を進めたいということで今回の説明会が催されたわけです。なお、これについては日本野鳥の会滝川支部の越後さんが道のほうと以前から連絡を取り合っており、内容については私も越後さんから何度か伺っていました。

説明会の出席者は道関係の人が7、8人と、説明を受ける側は越後さんと私、それに江部乙丘陵地のファンクラブの大崎さんというメンバーでした。時間は13時半からで、道の林務局森林整備課保護種苗グループの岩崎さんが主に説明し、その後、質疑応答があって1時間ほどで終了しました。

この整備計画は早ければ今月下旬から実施の予定ですが、今年度と来年度の作業はアオサギのいない間に行われるため、とくに問題とすべき事項はありません。しかし、24年度以降については繁殖期の最中に実施されるため、作業のやり方によってはアオサギの繁殖にかなりの悪影響が及ぶものと懸念されます。以下に質疑応答の主要部分を抜粋しておきます。

事案その1
道の説明 「平成24年度の植栽を5月に実施予定(右の工程表参照)。アオサギに配慮し、なるべく短時間で作業を終わらせる。(補足説明として)多くの人数をかければ一日で済むていどの作業量」

私からの提案 「アオサギの繁殖活動に悪影響があると考えられる。どの程度の影響があるかは実際にやってみないと分からないので、作業を行う前に作業がどのていどアオサギに影響するかをシミュレーションしたほうが良い。その結果に基づいてどの程度の人数でどのくらいの時間作業するかを決定すべき。アオサギへの影響が大きければ、人数を減らすか一日の作業時間を短縮し、数日に分けて作業するよう計画を変更したほうが良い」

道の回答 「H22年とH23年のうちにシミュレーションを行う(実際には私たちで行う)。作業を数日に分散することは可能」

事案その2
道の説明 「平成24年度と25年度以降の下刈りを6月と8月に実施予定。アオサギに配慮し手鎌を使用する」

私からの提案 「8月はアオサギはほとんど残っていないと思われるので草刈り機を使用して問題ない。6月の作業については、手鎌だと時間がかかり長時間作業することになるので却ってアオサギへの影響が大きいかもしれず、アオサギへの影響を確認しながら手鎌にするか草刈り機にするか臨機応変に判断するのが良い」

道の回答 「草刈り機を使うことができれば時間を大幅に短縮できるので、影響が少なそうであれば草刈り機を使いたい」

事案その3
道の説明 「植樹は右図で赤紫色の枠で示した5ヶ所で実施する。現在、コロニーがあるのは図の右側のNo.1、No2の区画。(図中、数値のあるメッシュが1本の木を示す)」

私からの質問 「現在コロニーがあるほうの林は、将来、植樹の計画はあるのか?」

道の回答 「アオサギがコロニーを利用している間は考えていない」

この他、大崎さんから植樹時期をずらせないかという意見がありましたが、木を確実に活着させるためにはどうしても5月中に植える必要があるということでした。

今回の事案では、林を種母林として機能させるために植樹計画が必要不可欠なものという前提があり、その中で作業のアオサギへの影響を最小限にするにはどうすれば良いかというところに論点が置かれています。これについては私も異論はありません。ただし、計画図から明らかなように、作業が行われる場所はコロニーからほんの数十メートルの距離であり、状況によってはアオサギの繁殖が著しく阻害される恐れもあります。最大限の配慮をしても、なおかつ深刻な事態が避けられない場合はどうするのかなど、この件に関してはこの先、まだ難しい問題が出てきそうです。