北海道アオサギ研究会

幌加内河川工事に対する抗議文への河川事務所からの回答

先日、幌加内コロニー直近における河川工事に対し抗議文と質問事項を滝川河川事務所に送付したところ、質問への回答が準備できたとの連絡があったことから、6月27日、滝川河川事務所で説明を聴いてきました。事務所の回答は以下のとおりです(PDFはこちら)。なお、文中の資料1〜3については河川事務所の内部資料ということなので、資料1(アオサギに関する経緯)の要約のみ公開します。ご了承ください。


「幌加内雨煙別における河岸保護工事に対する抗議および質問」に対する回答

130627
滝川河川事務所
1. 樹林の伐採と鋼板の敷設、およびコロニー周辺で行ったそれら以外の作業について、それぞれの作業の具体的内容と作業時期(日まで、時間は不要)についてできるだけ詳細かつ正確に教えてください。
回答 樹林の伐採と鋼板の敷設以外に行った作業は、除雪、現場事務所の設置、測量作業及び伐採範囲の確認作業となります。各作業の範囲、日にち等の詳しい内容は、別添の資料1(アオサギに関する経緯)と資料2(現地作業内容)及び資料3(コロニー付近平面図)に示してあります。
資料1 アオサギに関する経緯(営巣への影響の可能性がある事項のみ抜粋)※当研究会が編集
作業日 作業内容
5月15日 河川巡視
5月22日 測量(コロニーの川向かい側の堤防、3名)
5月28日 測量(コロニーの川向かい側の堤防、2名)
河川巡視(現地にてコロニーの情報を得る)
5月30日 河川巡視(コロニーの写真撮影、日報で報告)
6月3日 測量(コロニーの川向かい側の堤防、2名)
伐採範囲の確認(営巣木直下での作業、4名)
6月4日 工事用道路の敷鉄板布設(作業員1名、運転手1名、0.45m3バックホウ1台、L250m、100枚)
コロニー直近の営巣木を伐採(作業員1名、運転手1名、フォークグラップル(つかみ機)を装着した0.45m3バックホウ1台を使用し、伐採対象木を引き抜く)
伐採中止(河川巡視日報から工事対象箇所にアオサギの営巣木の存在を確認したことから、17時30分、河川事務所から工事受注者に作業の中止を指示)
2. 工事箇所において動植物に対する影響評価のための事前調査を行ったかどうか、また、行っていればそのアオサギに関する調査結果を、行っていなければ行わなかった理由を教えてください。
回答 工事箇所周辺の事前調査としては、河川巡視員(外部に委託して河川管理施設や周辺の状況について点検している)による自然環境に関する巡視の結果や既往の調査資料の確認を行っておりました。なお、河川巡視員からの報告書や既往の調査資料には、アオサギに関する記載はありませんでした。
3. 現時点でコロニーの存在について把握していたか、また把握していたとすれば確認した日にちと、その後、貴所のとられた対応について教えてください。
回答 6月4日午後(17時15分頃)に河川巡視員からの報告書でアオサギの営巣木があることを写真から確認し、直ちに現地での作業を中止(17時30分)させており、以降作業の中止を継続しています。
4. 今回の出来事は防ぎようのある事故だと考えます。こうした事故を再び起こさないために今後どのような対策をとられるつもりか、貴所のご見解をお聞かせください。
回答 今回の工事については、工事実施前に河川巡視員による巡視結果や既往の調査結果による確認は行っていたものの、地域からの情報収集を行っていなかったため当該地区の詳細な情報は把握していませんでした。また、河川巡視員が、アオサギの営巣木の情報を得ていながら、その情報が事務所内の工事担当者に伝わるまでに時間を要していました。このため、今後は、地元の自治体などから地域の環境情報など、工事に際して留意すべき詳細な情報把握に努めると共に、事務所内で重要な情報については、いち早く共有化を図る情報連絡体制の見直しを考えています。

以上の回答を受け、当会としては工事がアオサギ営巣放棄の直接の原因になったとは断定できないものの、工事に関わる何らかの作業が放棄の原因になった可能性は高いと考えています。また、事前調査が不十分であったことは間違いないところです。この点について、今後の工事では事前に十分な調査を行うよう口頭で要望してきました。加えて、アオサギに関わらず鳥類の繁殖活動が集中する時期には樹林の伐採をできる限り避けるよう要望しました。