北海道アオサギ研究会

鳥獣保護法に関連した答申素案に対する意見への回答

環境省が策定した「鳥獣の保護及び狩猟の適正化につき講ずべき措置について(答申素案)」に対し、先日、パブリックコメントにて意見を提出していたところ、1月中旬に環境省HPにて回答が掲示されていました。今回は268人が1,386件の意見を提出したそうです。以下に当研究会からの意見と環境省からの回答をまとめます。なお、パブリックコメント後に新たな答申素案が作成されています。

【該当箇所】全体
【意見】「個体群管理」という語の使い方が不適切である。文中の「個体群管理」はすべて「捕獲」、「個体数調整」、「鳥獣管理」のいずれかで置き換え可能。焦点を絞った適確な語を用いるべき。
【回答】個体群管理は、総個体数、密度、分布の管理等様々な側面が含まれており、文章表現の統一化を図るため原文どおりとします。


【該当箇所】全体
【意見】捕獲規制の緩和等による一般鳥獣に対する不用な捕獲圧の増加を危惧する。特定鳥獣の積極的な捕獲を推進するのであれば、同時に一般鳥獣を含めた鳥獣全体の保護体制をいっそう充実させるべき。
【回答】不明(注:この意見に対する単独の回答はありませんでしたが、おそらく類似の質問と合わせて回答していると思われます。)


【該当箇所】全体
【意見】捕獲推進の流れは人の野生動物に対する価値観を大きく変容させかねない。間違った意識を根付かせないためにも、捕獲対象としての鳥獣が命ある存在であることを明記すべき。
【回答】ニホンジカやイノシシ等の個体数増加や分布拡大が著しく、生態系や農林水産業等への深刻な被害を与えている鳥獣については、個体数管理を適切に行うことが必要と考えております。なお、「捕獲対象としての鳥獣が命ある存在であること」については、ご指摘を踏まえて3(8)に追記します。
《脚注》答申素案における追記箇所は次のとおりです。「また、捕獲した鳥獣を可能な限り食肉等として活用することを通じて、安寧な生活環境や豊かな自然環境が鳥獣の命と引き替えに得られていることの認識や感謝の気持ちを深めてもらう。」


【該当箇所】4ページ38-40行目
【意見】「鳥獣管理」は極めては汎用性の高い用語であり、特定の鳥獣を対象とした特定の考え方に基づいて行われる行為にこの語を限定するのは不自然であり誤解を招く。鳥獣保護法の条文では「特定鳥獣に対する管理」など対象を明示した表現にすべき。
【回答】ご意見の趣旨を踏まえ、この部分の説明を削除し、「1.はじめに」の最後に「なお、以下では、今回重点的に検討を行った、個体群の積極的管理を含む鳥獣の取扱全般を表す言葉として鳥獣管理という語を用いることとする。」という説明を追加します。


【該当箇所】10ページ32-34行目
【意見】捕獲情報は計画的な管理を行うにあたってもっとも重要な要素のひとつである。特定鳥獣だけでなく一般鳥獣を含む鳥獣全体について機能的で迅速な情報収集を可能にするしくみをつくるべき。
【回答】ご意見の趣旨は、概ね原文に含まれるものと考えます。今後の施策の参考とさせていただきます。

決して満足のいく回答ではなく、とくに3番目の意見への回答では趣旨を取り違えたとも受け取れる回答になっています。パブリックコメントはこれ以上のやり取りはありませんが、十分に意見が伝わらなかった点については今後の活動であらためて要望していく予定です。