北海道におけるアオサギの生息状況に関する報告

Status Report of Grey Herons in Hokkaido

遠幌コロニー

コロニーの全景

夕張市南部幌南町、夕張川左岸にあったが現在は消滅している。このコロニーは、川から高さ約60mの急斜面を登り詰めた痩せ尾根上にあった。コロニーおよび周囲の植生は針広混交林である。なお、夕張川はコロニーの約2.5km下流で清水沢ダムにより堰き止められているため、コロニー付近では川幅が広く流れはごく緩やかである。

このコロニーを1992年11月5日に調査したところ、ミズナラ、ハリギリ各2本、シナノキ、トドマツ、不明各1本の4種7本に、計75巣を確認している。このときの営巣面積は約100m2である。また、1993年11月6日の調査では、営巣木8本に68巣を確認している。 夕張市南部遠幌町の池田氏によると、このコロニーは1982年か1983年頃につくられたもので、当時5、6羽程度で営巣を始めたという。その後、個体数は増加し、多い年には5、60巣あったが、1995年を最後に放棄されたという。

コロニーの位置(大きな地図で見る

同氏によると、このコロニーは1994年と1995年にヒグマに襲われ、それが原因で放棄されたということである。同氏がコロニーの対岸より目撃したところによると、1994年は1、2頭の小さなヒグマが営巣木に登っていたが、たいした被害はなさそうだったという。しかし、1995年はヒグマが何度もコロニーに現れ、時には大きなのも含め4頭ものヒグマが一度に現れることもあったという。また、巣立ち前の時期にはヒグマが営巣木に登り、ヒナを捕らえて食べたり巣を叩き落としたりするのを目撃したそうである。ヒグマは繰り返し木に登ってヒナを捕らえ、また、トドマツなど枝が邪魔になって登れない場合は下に下りて木を揺すっていたという。さらに同氏の知人は、成鳥(巣立ち後の幼鳥である可能性もある)が巣の付近に飛来したところ、木に登っていたヒグマが手で叩き落とすのを目撃したそうである。なお、この年ヒグマの被害を免れた巣では最後まで営巣が続けられヒナも無事に巣立ったという。また、この年に10巣ほどが若美町のコロニーへ移動したと推測されているがその詳細は不明である。

このコロニーの対岸にある遠幌小学校では、コロニーがあった当時、積極的にアオサギの観察を行っていた。なお、このコロニーの周辺ではいけすの魚が奪われる被害が起きていた。

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