北海道におけるアオサギの生息状況に関する報告

Status Report of Grey Herons in Hokkaido

幕別コロニー

コロニーの全景

幕別町猿別、丘陵の北向き斜面にある。斜面は傾斜約45度の広葉樹林で、浅い沢形が何本も入っている。コロニーは斜面上部から斜面下の平坦地まで達している。コロニーの北側は幅約10mの狭い湿地を挟んでJR根室本線が走っており、さらに町道を越えて麦畑が広がっている。コロニーの東西は斜面上に同様の林相が続くが、西側は谷状になり東側は斜面の向きがやや東方に変わる。コロニーの南は高低差約10mで尾根である。

2002年12月13日の調査では、カツラ20本、ハルニレ5本、ヤチダモ5本、オニグルミ5本、ミズナラ2本、ハリギリ、シナノキ、イタヤカエデ、ケヤマハンノキ各1本の9種41本に、合計235巣を確認した。コロニー内の低木としては、エゾニワトコ、シウリザクラ、ノリウツギなどが見られた。林床の草本にはトクサが多かったが、他にフッキソウやシダ類なども見られた。営巣面積は約3,900m2であった。なお、幕別町立図書館の鎌田幸雄氏によると、2002年には現在のコロニーの南方数百mのところでも少数が営巣していたということである。今回、この場所については調査を行っていない。

1992年10月22日の調査では、広葉樹26本に、計71巣を確認している。また、1993年11月11日の調査では、45本の営巣木に177巣を確認している。1990年4月15日に松田あおい氏が行った調査では、ミズナラ11本、ハリギリ3本、トドマツ2本、ハルニレ2本、イヌエンジュ2本、イタヤカエデ2本、サワシバ1本、ヤマモミジ1本の8種24本に、使用巣55、古巣7を確認している。なお、1990年当時の営巣面積は約3,000m2である。また、1991年6月15日と17日には弘前大学の佐原雄二氏らが調査に入っており、営巣数を約80と報告している(佐原ほか 1994)。さらに、1992年6 月と1993年6月には帯広畜産大学の柳川久氏らが調査を行い、巣数を156巣および167巣と報告している(柳川 1997)。

地元の人によると、この辺りにアオサギが飛来するようになったのは1982年頃からで、このコロニーで営巣し始めたのは1985年頃からだという。また、幕別神社の人によると、最初は5、6巣程度で、その後、徐々に増えたという。

コロニー北方にある池田町の養魚場ではアオサギの食害に苦慮しており、これまで数年にわたり駆除を行っている。養魚場の経営者によると、養魚場へのアオサギの飛来はとくに4、5月に多いという。また、地元の人の話では、コロニー西方の途別川上流に道の蓄養魚場があり、アオサギはそこで放流されるサケの稚魚を捕ることもあるという。佐原氏らが行った調査では、当コロニーでのアオサギの餌として、ウグイ、ティラピア、スジエビ、ザリガニ、スナヤツメ属が同定されている(佐原ほか 1994)。また、柳川氏の調査ではこれら以外の餌として、カジカ、エゾアカガエル、カニ類、ガムシが同定されている(柳川 1997)。このコロニーは外部から見やすい位置にあり、コロニーの東方約150mの道路沿いには「アオサギ公園」と名付けられた7、8台分の駐車スペースがある。なお、近年はカメラマンがコロニーのすぐ下まで入るのでアオサギの営巣活動への悪影響が懸念されている。この林は道有林で、豊岡環境緑地保護地区に指定されている。この近辺では十勝川温泉付近など厳冬期でも河川が結氷しない部分があるため越冬個体が見られ、1994年1月26日には22羽の群れが十勝川温泉付近で確認されている(柳川 1997)。また柳川氏は、1月中旬に100羽近いアオサギの群れを確認したこともあるという。

参考文献
佐原雄二、作山宗樹、出町玄 1994 繁殖期におけるアオサギArdea cinereaのエサと採餌場利用 日本鳥学会誌 43 67-71
柳川久 1997 幕別町猿別におけるアオサギコロニーについて 帯広百年記念館紀要 第15号 29-37

コロニーの位置(大きな地図で見る
コロニーの周辺環境
コロニーの内部