北海道におけるアオサギの生息状況に関する報告

Status Report of Grey Herons in Hokkaido

三石コロニー

コロニーの全景

三石町蓬莱、三石川に面する山の北斜面にある。コロニーの北側は約50mでJR日高本線とそれに平行して走る道路があり、その先は水田で開けている。コロニーのある場所は、細かい尾根と沢が入り組む急斜面(斜度約35度)である。林は広葉樹林で、大径木、高木が多く、またギャップも多い。

2001年12月11、12日に行った調査では、イタヤカエデ13本、カツラ8本、シナノキ7本、ホオノキ3本、オニグルミ3本、ハルニレ2本、サワシバ1本、不明2本の7種39本に、計72巣を確認した。林床は尾根筋にはチシマザサが多く、沢にはトクサやシダなどが見られた。営巣面積は約3,200m2であった。

1992年11月21日の調査では、広葉樹78本に150巣を確認している。また、1993年11月9日の調査では、77本の営巣木に166巣を確認している。さらに、1990年3月29日と4月11日に松田あおい氏が行った調査では、ベニイタヤ12本、カツラ8本、ミズキ6本、ホウノキ5本、ハルニレ3本、エゾイタヤ3本、シナノキ、ミズナラ、エゾヤマザクラ各2本、アサダ、アオダモ、オニグルミ、キハダ各1本の13種47本に、使用巣92、古巣40が確認されている。1990年当時の営巣面積は約5,000m2である。

この林の所有者である牧場の沼田夫妻によると、このコロニーは1966年5月にひとつがいが営巣を始めたのが最初であるという。以降、2年目に4羽(このうち1羽が銃で撃たれた)、3年目に3羽、4年目に8羽、5年目に20羽が飛来し、その後は倍々で増えたという。また、1983年に浦河町郷土館の学芸員らが確認したところ、80羽以上の成鳥が生息していたとされている。その後生息数は増加し、1987年には250羽以上が数えられている(日高報知 1987.3.26)。なお、沼田夫妻によると、現在の個体数は以前にくらべ減少しているということである。このコロニーでは、毎年3月8日から16日頃にかけてアオサギが初飛来するという。また、コロニーができた当初は秋の彼岸頃まで残っていたが、最近はお盆頃にはいなくなるそうである。なお、このコロニーは東から西へ徐々に移動したということである。餌場としては、河川や水田の他、近くのサケマス孵化場も利用されている。このコロニー周辺では、アオサギが水田の苗を踏みつけたり、三石川に放流されたサケの稚魚を食べるという被害がある。このため、1986年に三石町役場で被害対策打ち合せ会議が開かれているが、具体的な対策は立てられずに終わっている。

コロニーの位置(大きな地図で見る
コロニーの周辺環境
コロニーの内部