北海道におけるアオサギの生息状況に関する報告

Status Report of Grey Herons in Hokkaido

音別コロニー

コロニーの全景

音別町直別の市街地の裏山にある。コロニー付近はカラマツ林である。この山は全体としてなだらかであるが、コロニーのある部分は湿地状の沢が入り組み、沢付近は約30度の傾斜がある。コロニーはこの湿地に沿って細長く伸びている。コロニーの西側は湿地を隔ててカラマツ林が続く。東側もカラマツ林であるが、コロニーに隣接して約20mの巾でカラマツがなぎ倒されている。このギャップは2002年の台風21号によるものと思われる。

2002年12月16日に調査を行ったところ、カラマツ53本に81巣を確認した。コロニー内の低木としては、エゾニワトコが優占するほか、ミズナラ、イタヤカエデなどもごく少数見られた。林床は大部分がイネ科草本で、部分的にササが侵入していた。また、コロニー内のカラマツのうち約15%は枯死木であった。このコロニーは道内の他のコロニーに較べ異常に大きな巣が多かった。営巣面積は約1,900m2であった。

1992年10月22日の調査では、63本のカラマツに82巣を確認している。また、1993年11月13日の調査では、77本の営巣木に94巣を確認している。さらに、1990年4月15日に松田あおい氏が行った調査では、85本のカラマツに使用巣103、古巣12を確認している。1990年当時の営巣面積は約6,000m2である。

地元の人によると、アオサギがここで営巣を始めたのは1975年頃からという。また、北海道新聞釧路版(1982.6.27)によれば、1978年頃からコロニー付近でアオサギの飛び交う姿が見られるようになり、1982年には約40羽が生息していたということである。このコロニーは、釧路湿原ボランティアレンジャーの会の榊原源士氏や沢田正雄氏らによって、1999年以降毎年2月20日前後に巣数がカウントされている。それによると、1998年83巣(1999年2月の調査、以下同様)、1999年83巣、2000年79巣、2001年87巣、2002年78巣、2003年72巣、2004年88巣となっている。なお、このコロニーがあるカラマツ林は建設会社「鹿島」の所有で、2003年に伐採の予定があったが、地元の「キナシベツ湿原を愛する会」の要望によりコロニー付近の伐採は見送られている。

なお、松田氏によると、1990年4月15日にオオセグロカモメがアオサギの卵を捕食するのを目撃したという。また私は、1992年4月15日、オオワシの若鳥がこのコロニーに1時間以上も居座り、次々に巣を移動しながら卵を食べるのを目撃している。なお、榊原氏によると、このコロニーにアオサギが飛来するのは例年3月10日頃であるという。

コロニーの位置(大きな地図で見る
コロニーの周辺環境
コロニーの内部