アオサギの有害駆除に係る問題点に関する報告

Report on the Problems of Grey Heron Control in Japan

1. 調査の概要

(1)調査の目的

アオサギの駆除に係る行政上の問題点を明らかにする。

(2)調査対象

47都道府県(注1)および平成22年度にアオサギを駆除する計画のあった市町村(156市町村。表1参照)を調査対象とした。このうちすべての都道府県と、上記市町村のうち都道府県から十分な情報が得られなかった119市町村については直接問い合わせを行った。また、平成22年度の前後の年に駆除の実績が確認された場合等については、上記以外の市町村(7県16市町村(注2))にも随時問い合わせを行った。さらに、必要に応じて関係する民間団体(漁業協同組合2ヶ所と農業協同組合5ヶ所)にも聞き取りを行った。

(3)調査期間

平成24年3月30日より平成26年2月19日まで

(4)調査方法

各都道府県の鳥獣管理担当部署に平成24年3月30日付けで「アオサギの有害鳥獣駆除における許認可業務の適正化と審査の厳格化に関する要望書」を郵送し、下記事項について情報の提供を求めた。

・鳥獣保護法によるアオサギを対象とした駆除(市町村委譲分も含む)の内訳が示された資料

・鳥獣被害防止特措法によるアオサギを対象とした駆除計画を策定した市町村の鳥獣被害防止計画

・2の鳥獣被害防止計画の結果が示された資料

なお、すべての資料は平成22年度実施分とした。無回答の都道府県に対しては二度にわたり書面にて回答への協力を依頼し、それでも連絡のない場合は直接電話にて回答を求めた。また、上記事項に加えてアンケート(資料2)による質問を行った。

市町村についてはアンケート調査は行わず、電話で上記資料の提供を求めるとともに、被害内容と被害ごとの駆除数について聞き取りを行った。また、これ以外に具体的な被害の状況や生息状況調査の有無、許認可制度の運用状況等についての質問を適宜加えた。なお、後者の付加的な質問はすべての市町村に一律に行ったものではないため、それらの回答については問題点抽出のための参考事例とするに留めた。

なお、各都道府県の平成22年度以前の駆除数については、環境省がネット上に公表している「鳥獣関係統計(注1)を参考にした。

(5)表記

本報告書では都道府県名はそのまま表記したが、市町村名は都道府県名の後にA市、B市のようにアルファベットで示した。このアルファベットは単一の項目内でのみ市町村名と一対一に対応するものとした。たとえばある項目で札幌市をA市とした場合、同一項目では札幌市は何度出現してもA市であるが、別の項目ではB市と表記される場合もあり得る。なお、アルファベットと市町村名に関連はない。また、町と村については、便宜上、市の表記に統一した。

法律、指針、計画等のうち本報告書で頻出するものについては以下のように略記した。

鳥獣保護法 : 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律

特措法   : 鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律

指針    : 鳥獣の保護を図るための事業を実施するための基本的な指針

防止計画  : 鳥獣被害防止計画

もくじ

・ はじめに
1. 調査の概要
2. アオサギの置かれている現状
3. アオサギ駆除の現状
4. アオサギの駆除に係る問題と問題解決のための提案
5. アオサギの管理指針
6. 都道府県への提言
・ 図表
・ おわりに

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