アオサギの有害駆除に係る問題点に関する報告

Report on the Problems of Grey Heron Control in Japan

はじめに

近年、アオサギの有害駆除数が急増している。環境省がまとめた鳥獣関係統計によると、平成8年度に全国で8羽であった駆除数は、その後、年々増加し、平成22年度には3,412羽を数えるまでになった。しかし、この間、国内のアオサギの生息数が急増したという報告はない。国内のアオサギの生息状況については僅かな知見しか得られていないが、ここ十数年の生息数に限れば、仮に増えたとしても多くて数倍ていどであり、アオサギの生息状況の変化のみで駆除数の増加を説明するのはまず不可能である。

そこで当研究会では、駆除数増加の原因が鳥獣管理行政にあるのではないかと考え、全国の都道府県および市町村に対し、アオサギの管理施策についてのアンケートおよび聞き取り調査を実施してきた。その結果は、制度面を含めた行政上の不備が不要な駆除を助長し、ひいては駆除数増加の主な要因となっている可能性を強く示唆するものであった。

本報告は、こうした状況を踏まえ、鳥獣管理行政の適正化が必要との観点から、行政上の問題点の検証および改善策の提案を行うものである。問題のある自治体には具体的かつ実効性のある対応を早急にとられることを強く要望する。

北海道アオサギ研究会
代表 松長克利

もくじ

・ はじめに
1. 調査の概要
2. アオサギの置かれている現状
3. アオサギ駆除の現状
4. アオサギの駆除に係る問題と問題解決のための提案
5. アオサギの管理指針
6. 都道府県への提言
・ 図表
・ おわりに

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