アオサギの有害駆除に係る問題点に関する報告

Report on the Problems of Grey Heron Control in Japan

2.(3) 有害鳥獣としての位置づけ

指針では、アオサギは「一般鳥獣」に分類されており、その駆除については、必要に応じて狩猟鳥獣の管理に準じた対策を講じるものとされている。アオサギの駆除についてのこの基本スタンスは現在も変わっていない。しかし、近年、アオサギの駆除に関して制度面でいくつかの重要な変更があり、以前より簡易化された仕組みのもとでアオサギの駆除が行われるようになった。以下にそれら制度面での変更点を列挙する。

【捕獲許可権限の国から都道府県への変更】
平成11年の地方分権一括法の制定に伴い鳥獣保護法の一部が改正(平成12年4月1日施行)され、従来、環境庁長官が担っていた捕獲許可の権限の大部分が都道府県知事のもとへ移された。この結果、アオサギの有害駆除の権限は都道府県知事が担うこととなった。

【捕獲許可権限の都道府県から市町村への委譲】
同じく、平成11年の地方分権一括法の制定に伴い地方自治法が改正(平成12年4月1日施行)され、条例による事務処理の特例で都道府県知事の権限に属する事務の一部を市町村へ委譲することが可能となった。委譲可能な事務には鳥獣捕獲の許認可事務も含まれており、この結果、市町村自らがアオサギの捕獲権限を有し駆除を実施できるようになった。

【有害鳥獣捕獲に係る許可基準の緩和】
国が平成19年1月に告示した鳥獣保護法の指針において「有害鳥獣捕獲についての許可基準の設定」に一部変更があり、駆除を目的とした捕獲を許可するにあたり「特に慎重に取り扱う」べき対象種からアオサギが除外された。これに伴いアオサギの予察捕獲が可能となった。

【市町村による被害防止計画の策定】
平成19年12月に鳥獣被害防止特別措置法が公布(平成20年2月21日施行)され、市町村が鳥獣被害防止計画を独自に策定し、同計画に沿ってアオサギの駆除が行えるようになった。また、同計画でアオサギの駆除を計画した市町村は、条例による捕獲権限の委譲が行われていない場合は、都道府県に対し同権限の委譲を要望できるようになった。

もくじ

・ はじめに
1. 調査の概要
2. アオサギの置かれている現状
3. アオサギ駆除の現状
4. アオサギの駆除に係る問題と問題解決のための提案
5. アオサギの管理指針
6. 都道府県への提言
・ 図表
・ おわりに

リンク